骨粗しょう症

はじめに

みなさんは、お年寄りというとどんな姿が目に浮かびますか?
腰が曲がって背が縮んで杖をついているおじいさん、おばあさんは絵本の中の定番!ですね。
でもこれはじつは「骨粗しょう症」(こつそしょうしょう)という病気だったのです。
高齢化社会を迎えた日本では、今この骨粗しょう症が原因で骨折して寝たきりになる人が急増しています。
せっかく長生きしても歩けないで介護を受けるようになってはつらいですよね。
骨の強さは少しずつ失われ、気がつかないまま進行していきますので、早い時期にご自分の骨の状態を調べておきましょう。
女性は閉経時に、男性は定年退職年齢になったらぜひ一度検査を受けることをお勧めします。

骨粗しょう症の頻度

40歳以上の患者数は約1,300万人で女性は男性の3~4倍です。
50歳以上の女性の24%、男性の4%、そして75歳以上の女性の半数以上が骨粗しょう症です。
骨密度は男性は年齢とともにゆるやかに減っていきますが、女性は閉経によって女性ホルモンの分泌が減ると急激に低下してしまいます。

骨折

骨粗しょう症で骨折しやすい部位は次の3ヶ所です。

転倒予防

これらの骨折を防ぐために生活環境を改善しておきましょう。

骨折の危険因子

この他にも、糖尿病・腎臓病・リウマチ・4cm以上の身長低下などが 関係します。

骨粗しょう症の診断

転んで尻もちをつくなどして、大腿骨・背骨・手首が骨折した場合、あるいは骨密度が若い人の70%以下に減少した場合、骨粗しょう症と診断します。

骨粗しょう症の予防

食事と生活習慣を見直しましょう。
 最大骨量は18歳時に達成されますので、中年~老年期にかけて、これを維持していくことが目標です。
 食事でのカルシウム摂取、有酸素運動(ウォーキング)、荷重運動(適切な重さのものを持つ・運ぶ)、禁煙、過度のアルコールを控える等が有効です。
 また、体重を適正に維持することは骨に荷重をかけるという意味があり、ダイエットで必要以上にやせることは避けましょう。

骨粗しょう症の治療

進行してしまって、骨粗しょう症あるいは骨量減少と診断された場合は治療を開始します。
生活習慣の改善に加えて、カルシウムとその吸収を良くするビタミンD、骨密度の減少を抑える薬や骨形成を促進させる薬などを服用します。
最近では月に1回使用するだけの薬や、半年に1回打つだけの注射も出ています。

危険度チェック

項目
1 年齢が52歳以上    
2 女性である
3 生まれつき小柄
4 運動はあまりしない
5 ダイエットしている
6 あまり外出しない
7 乳製品をとらない
8 タバコを吸う
9 お酒をよく飲む
10 親が骨折している
11 リウマチがある
12 糖尿病がある
13 腎臓病がある
14 ステロイドを服用している
15 ささいなことで骨折したことがある  重要項目
16 背が低くなった
17 歩き方がおかしくなった
18 腰・背中が曲がった
19 腰・背中が痛い
合計

1~14で3つ以上があった方、15~19で1つ以上があった方はお申し出ください。すぐに検査を受けましょう。

検査費用

健康診断を除いて、保険で検査できます。

お申込み

骨折の危険因子がある、もしくは危険度チェックで当てはまった方は、診察時にお申出ください。

おわりに

年をとって骨が弱くなる、腰が曲がって歩けなくなる、骨折しやすくなる・・・この様な変化は老化だし仕方がないことと、長い間あきらめられていました。
ところが近年、骨粗しょう症は生活習慣病であり、生活を改善することで予防が可能になることがわかってきました。
また、進行を改善する薬も次々に開発されています。
放置してしまうと骨折から寝たきりになる危険があります。私の母も腰椎圧迫骨折のあと長く腰痛で苦しんでいました。
年だからとあきらめないで、ご自分の骨を大切にして文字どおりバックボーンになって支えてもらい、元気で豊かな高齢者生活を目指していきましょう!

オスロ宣言

我々は世界に広がる骨粗しょう症による大腿骨、椎骨その他の部位の骨折をなくすために努力するものである。
特に骨粗しょう症の危険にさらされているのが閉経後の女性であることを認識し、すべての臨床医が女性の日常的医学検診の1項目として採り上げることができるよう協力したい。
さらに骨粗しょう症が男性にとっても潜在的な脅威であり、日常的検診項目の1つであることを主張したい
(1997年9月 ノルウェー・オスロ 第3回世界骨粗しょう症患者連盟会議)

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